ランプの宿
街から離れ山道を進んだ先にその宿はありました。電気も無く携帯は圏外です。夜の灯りはランプだけ。
青荷温泉(あおにおんせん)は八甲田山麓にぽつんとある一軒家です。 国道103号から山に入っていきます。 いまではほぼ舗装されていますが、宿が近くなると砂利道に変わります。 峠から谷を覗くと小さく宿の屋根がみえました。
ランプの宿として有名になり時折秘境の宿としてテレビなどで紹介されています。
宿には小ぶりな4つの建物があって、温泉も4つあります。わたしが訪ねた5月は新緑の季節。無色透明なお湯に浸かって窓から射し込む鮮やかな緑色がとても癒されます。 聞こえるのは川の音と、時折聞こえるカジカの鳴き声だけ。
山の中で不便な宿なのに宿泊者が絶えません。 何も無いからこそ価値があると考える人が多い証でしょう。 いま山ガールと言って登山をされる女性が増えています。 大自然を体感して都会のストレスから解放されたいと思う人が増えているのかもしれません。 ランプの宿は登山ほどハードではありません。 予約をすれば近隣まで送迎バスもあるので気楽に訪れることができます。
お風呂でさっぱりしたら小川や宿の周りにある自然をゆっくりながめてリラックスすることができます。 時間はたくさんあります。 宿の部屋にはテレビもありません。スマホもつながらないので本などを持ってきて読書に没頭することができます。
夕方になると宿の方が各部屋にランプを持ってきてくれます。 ほのかな明るさに包まれます。
夕食は食堂でお客さん全員で一緒に食べます。 食事にはちょっとしたエンターテインメントが用意されています。 宿の方が地元 津軽の言葉でお料理の説明をしてくれます。 わざと昔からの強いなまりの方言で説明されるとあまりのわからなさに笑いが起きます。
それもそのはず同じ津軽弁でもランプの宿がある黒石はなまりが強いと地元の人もいうほどなんです。 津軽弁は聞いてみるとまるでフランス語かと感じるほど聞き取れません(笑)
食事の後も温泉に入れます。 温泉から上がると灯りはランプだけでほの暗いので読書もままなりません。 自然の音を聞きながら就寝です。
夜早く寝たので、朝早く目覚めます。早朝は空気もひんやりして気持ちいいです。 混まないうちに温泉に行きましょう。
朝食も宿泊者全員で一斉に食べます。遅刻厳禁(笑)。 食後はコーヒーなどもいただけます。
青荷温泉は、黒石温泉郷の一つ。帰りにまた別の温泉を楽しんでもいいでしょう。 ここには都会にはないものがたくさんあります。
公共交通機関でいらっしゃるなら、弘前駅から私鉄の弘南鉄道で終点黒石駅まで行き、そこから虹の湖までバスで行きましょう。 虹の湖は黒石を流れる浅瀬石川を堰き止めたダム湖です。 宿の送迎バスはここから出ています。必ず事前に予約をしましょう。