せんべ汁
根菜などを醤油味で煮て、そこに煎餅を入れたものが“せんべ汁”(せんべい汁)です。 青森の太平洋側にある八戸の郷土料理です。
え? 鍋や汁物に煎餅を入れるの? あのパリパリした煎餅を? 変な料理って感じるのは当然かもしれません。
青森から岩手にかけておみやげの定番といえば南部せんべいです。 小麦粉をベースに胡麻や落花生などを加えて焼き上げたものです。 この南部せんべいの生地を薄く仕上げた小麦粉だけのつゆ用せんべいというものが販売されています。
このつゆ用せんべいを割り入れて作ります。せんべいが汁を吸ってしんなりしたら食べごろです。 食べるとせんべいというよりもすいとんや、きしめんのような食感です。
煎餅以外の材料は、鶏肉、大根、人参、ゴボウ、白菜、干し椎茸、糸コンニャクなどです。干し椎茸の戻し汁を加えて、具材を煮て醤油で味を調えてからせんべいを割り入れます。 仕上げにネギの斜め切りを添えます。
食べたことがない人にはちょっと違和感のあるせんべ汁ですが、煎餅をお餅に置き換えるとお雑煮ですよね。 お餅と言えばお正月など晴れの日に神様にお供えするものです。 おそらく昔は特別な日にしか食べることができなかったと思います。 そこで手に入り易かった南部せんべいを餅の代用にしたのではないでしょうか。
南部せんべいの原料は小麦粉です。一般に煎餅と言えば餅を焼いたものです。 同じ小麦粉を使った鍋料理には、すいとんや、ひっつみ、山梨のほうとうなど各地にありますよね。
いまではせんべ汁も知られるようになって、つゆ用せんべいに濃縮スープをセットにしたものもおみやげ用で販売されています。 高速道路のSAでも販売されています。見かけたら買ってみて試してみてください。