春の気配
青森の冬は長い。11月には初雪が降り、積もった雪が溶けるのは4月です。一年の半分は冬です。
どんなに寒い冬でも季節は廻り春が訪れます。 それは雪が溶けて土が顔を出し始める3月ころです。 最初に芽吹くのはネコヤナギです。硬い殻に包まれていた蕾が開いて綿毛に包まれた芽が顔を出します。 そして最初に咲くのはマンサクです。 細い紙をよった“こより”のような黄色い花びらです。 残雪に鮮やかな黄色は色を失っていた風景にぱっと明るさを感じさせます。
マンサクの名前の由来は東北弁で「まんず咲く」(まずさく)、最初に咲くことを意味すると言われます。 心待ちにしていた春を知らせてくれる花です。
雨返し
季節の変わり目に低気圧が近づいて南からの温かい風と共に雪ではなく雨が降り始めます。 「あ~雪が終わった」と思いたいところですが、その雨を降らせた低気圧が過ぎて北風に変わると寒気が入ってまた雪が降ります。 しかも吹雪になることも少なくありません。
津軽ではこの雨の後に雪が降ることを“雨返し”(あまがえし)と呼びます。 真冬に降る雪は強く握っても雪玉にならない乾いた粉雪ですが、雨返しでは湿った重い雪になります。 重い雪は雪かきが大変ですけど、もう冬も終わりだと感じれます。
東京の3月は、梅が満開で早咲きの河津桜が楽しめます。同じ季節、青森はまだ冬です。 公園には雪が積もっています。桜のつぼみはまだ固いまま。
青森に春が訪れるのは5月の連休まで待たなければなりません。