りんご
青森と言って思い浮かべるのは雪、ねぶた、そしてりんごではないでしょうか? 青森のりんご生産は日本一。2位は長野県です。
多い日は一日だけで20Kg入りの箱が15万箱も取引されます。 って言われてもよくわかりませんね。 りんごって品種によっても大きさが違いますけど仮に一つを400gとすると、20Kgの箱に50個入っていることになります。 一日一個食べても50日。それが15万箱って、、、やっぱり想像できないですね(笑)。
りんごの作業は花が咲く前から始まります。まだ雪が残るころから、伸びすぎた枝や弱った枝を剪定したり、枝が折れないように柱で支えたりといった準備をします。
りんごの花が咲くのは、桜が散るころ5月の連休が終わるころ。 花は桜と区別がつかないほど似ています。 それもそのはずです。 サクラ、リンゴ、ナシ、モモはみんなバラ科。5枚の花弁で白色から淡いピンクの花びらです。
桜は一か所から数個の花が咲いて、枝がびっしり花でいっぱいになりますよね? りんごも同じです。 これ全部を実にしていては大きな実ができません。 そこで蕾が膨らんできたり咲き始めると花摘み(適花)をします。一か所から4~6個ついているものを1つだけ残して摘みます。
リンゴ、ナシ、モモなどバラ科の果物の多くには変わった特長があります。 それは同じ木の花同士では受粉しても実ができません。 異なる品種の花粉をつけないと実ができないんです。 これを自家不和合性と呼びます。 畑に色んな品種を混ぜて植えれば、うまくいけば受粉して実になるかもしれませんけど、品種が混ざっていると収穫する時に区別するのが大変です。
そこで一般には一つの畑には同じ品種をまとめて植えて、別の品種の花粉をポンポンのようなものにいっぱい付けて、それを花の雌しべにつけてまわります。 これを人工授粉といいます。 中には自然栽培で蜜蜂に受粉をさせるところもありますが、少ないと思います。 だからりんごの畑をよ~くみると、多くが同じ品種なんだけど隅っこに一本だけ違う木があったりします。 りんごの花が咲いているのは3~4日と短いので、農家は急いで受粉作業をしなければいけません。
適花はしましたが、そのままにしておくとピンポン玉を少し大きくしたほどの実にしかなりません。 そこで少し実が大きくなってきたらそのほとんどを摘んでしまいます。 例えば木に100個の実ができたとすると、90個を摘んで10個だけにしちゃうみたいな感じです。 そうやって実を減らすことで一つの実にたくさんの栄養を与えれるようにしてみんなが知っている大きな実に育てるんです。 これを摘果(てきか)と言います。摘果は多くの果物でも行われています。 津軽では摘果を実選り(みすぐり)と呼びます。
更に実に紙袋をかけて栽培するものもあります。有袋栽培(ゆうたいさいばい)といいます。 袋をかけるメリットは害虫やウィルスからの防除、色づきの向上、収穫後の保存性の良さなどがあります。
実が大きくなって収穫が近くなってくると、木の下に反射材を敷いて実に光がまんべんなく当たるようにします。 ほらビーチでも小麦色に日焼けするためにサンオイルを塗って、銀色のシートの上に寝そべったりしますよね。 それと同じ理由です。 更に、上からの太陽の光がちゃんと実にたくさん当たるように、実に近い葉を摘んで実に影ができないようにします(葉取り)。
スーパーでよくみる品種のフジは5月に花が咲いてから、収穫されるのが11月と遅くなります。その間、農家はこんなに手間をかけて一生懸命作っています。雪が深い時期を除くとずっと面倒をみています。 ある農家の男性は「春から天塩をかけて育てるリンゴは私にとって娘みたいなもんだ。リンゴを出荷する時は娘を嫁に出す気持ちだ。」と言います。
収穫されたりんごはすべてをすぐに出荷するわけではありません。低温で酸素濃度を下げた特別な施設に置いてりんごを眠らせておきます。これをCA貯蔵といいます。 貯蔵されたりんごは翌年の8月まで順次出荷されていきます。
またりんごをシートで覆って雪の中に貯蔵する雪室りんごというのもあります。雪に埋めると適度な湿度と低温が保たれるのでもぎたてのような食感のまま甘みなども向上して春に食べることができます。
りんご畑
りんごが木になっているのをみてみたい。そんな方には、弘前ならりんご公園がお勧めです。弘前駅や市役所前からりんご公園に向かうバスが便利です。 運賃は100円~200円です。弘前駅や市役所そばの観光館で自転車を借りてゆっくり街をサイクリングする方法もお勧めです。
りんご公園は広大な畑があって80種のりんごが栽培されています。春の花や、秋の実りなど季節ごとに楽しめます。 小高い丘が設けられているのでそこに上がると畑が一望できて、岩木山や遠くに八甲田山も臨めます。写真は丘から見えるりんご畑と青森県の最高峰 岩木山です。
りんご公園は入園無料で、レストランやバーベキューコーナーもあるし、もちろん収穫されたりんごも売っています。 りんご収穫祭ではもぎ取り体験もできますよ。
りんご公園にはシードル工房もあるのでシードルを製造しているところを見学することもできます。シードルはりんご果汁を使った発泡性のお酒です。
車で来られた方には、国道7号線から岩木山麓に続くアップルロードがお勧めです。道沿いにはたくさんのりんご畑があって、ドライブしながらりんごを楽しめます。
最近は黄色い品種の栽培も増えています。黄色い品種は多少日当たりが悪くても問題ないので葉を摘んだり反射シートを敷く手間が省けます。 それでも農家の多くが赤いりんごの栽培をしたいと言います。やっぱりりんごと言えば、赤くて大きな実ですよね。
この写真にあるのはりんごの代表的な品種ですが、みなさんわかりますか? 青森県人の多くは子供も含めてぱっとみて品種がわかります。 それだけ普段から接している証です。
りんごはスーパーでも売っていますが、お勧めは道の駅や産直販売です。贈答用だと15個ほどの箱入りで3800円くらいしますが、少し小さいものやキズやこすれたものなどは家庭用として3つで200円ほどで販売されています。 味は贈答用と変わりません。しかももぎたて。
りんごは早生品種が9月から出荷が始まり、中性種の代表「つがる」が10月、晩成種の代表「ふじ」が11月から12月です。 スーパーに並ぶまでには収穫してから日数が経ってしまいますが、獲れたては甘酸っぱい香りがします。
青森ではりんごの輸出にも取り組んでいます。中国、台湾、ベトナムなどでも好評です。日本のりんごは大きくて、美味しい。 それにカリウムやビタミンも豊富で健康にもいい。 りんご食べましょう。