お山参詣

お山参詣

お山参詣は、江戸時代から300年続く伝統行事です。岩木山に鎮座する岩木山神社を目指して麓から徒歩でおよそ7Kmを登り拝殿で五穀豊穣と家内安全を願います。国の重要無形民俗文化財に指定されています。

いまでこそ車もありますが、江戸時代にはありません。岩木山神社への参拝をするのは、その周辺の村々の代表でした。遠くは現在の五所川原、岩木山神社までは30Km以上はあります。 それでも歩いて、登って岩木山神社に参拝したいと思うその大いなる動機は何だったのでしょうか。

冬、雪が積もり野菜も米も作れなくなる、しかも寒い上に現在の様な厚着も暖房もない状態で生きてゆくには、秋の実りは切実な命にかかわることだったことは想像に固くありません。 そこで津軽の一宮である岩木山神社に、農作物が豊かに実ることをお願いしたいと思うのは自然なことでしょう。

登拝

登拝とは、神社がある山に登って、参拝することを指します。一人ではなく、地域の代表として団体で向かいます。

登拝

先頭には「岩木山参詣」の幟をたて、供物となるお神酒や紅白の鏡餅が続き、棒に薄茶色の長い紙がついた御幣(ごへい)を持って行列し、笛や太鼓を奏でながら進みます。最後尾には7mほどはあろうかという大きな幟(のぼり)を数人でかかえています。

人々は口々に「サイギサイギ」などの念仏を発しながら進みます。

歩く距離も長いですし、子どもたちも参加しているので途中休憩をしながらです。

参拝

一行が岩木山神社に到着するとまず最初に大鳥居前に集まります。大きな7mにもなる幟(のぼり)を持参した団体は、ここが見せ場となります。

大幟建て

力自慢の男が幟を立てて、腰に巻いたまわしで支えて慎重にバランスをとって幟の支柱を支えていた両手を離して大きく大の字をキメます。 上手くできると観衆から拍手が沸き上がります。幟を建てる姿を奉納したら一行が揃って大鳥居で一礼して、参道へ進んでいきます。

お山参詣をする団体が一斉に集まってくるのを避けるために団体の到着は一定の間隔を空けて行われているようです。到着した一行が参道を進み拝殿で参拝をして参道を下りきってから次の一行が到着するような感じでした。

わたしが観たときは、鶴田町の一行が参拝をしていました。後でニュースで知ったのですが、鶴田町の一行は拝殿の注連縄も奉納されたそうです。また、鶴田町の小学生も学校行事として参加していたようです。

お山参詣は3日間で行われ、一行の登拝が行われる宵山は2日目です。 3日目は岩木山山頂にある奥宮に参拝してご来光を拝んで行事が終了します。

念仏の懺悔懺悔(サイギサイギ)や六根懺悔(ドッコイサイギ)は、修験道で山伏が山で修業をする際に唱える「懺悔懺悔六根清浄」と同じような意味であり修験道の修行と神社への参拝が一体となった大変興味深いものだと思いました。

わたしは宵山を見学したんですが、岩木山神社の秋の例大祭という神事とお祭りの要素が加わったみどころの多い行事だと感じました。

アクセス

お山参詣は旧暦の8月1日から行われます。

多くの一行の登拝は弘前市役所岩木支所の辺りから県道3号を進み、岩木町観光花園店のある交差点から旧道に入り、そのまま真っすぐ岩木山神社に向かっていました。 多くの道が狭く、登拝をみてから一行を車で追い越して岩木山神社に向かうことは難しくなります。 登拝をみた後に岩木山神社に向かうには、迂回をして岩木川沿い県道28号 岩木山南東麓にある国吉地区を経由して三本柳温泉から神社に向かう必要があります。 もちろん最初から岩木山神社で一行を待てば、登拝の様子を臨むことも可能です。

岩木山神社の大鳥居前に普段用意されている駐車場は祭禮のため使用できません。周辺にある民間の臨時駐車場を利用してください。神社周辺の道は狭いので路上駐車は大変迷惑となります。

お山参詣の一行が岩木山神社に到着するのは早い一行は9時前後からで、遅い一行は午後にも到着します。

この時期、トウモロコシ、桃、リンゴなどの味覚も外せません。また岩木山周辺にはたくさんの温泉があります。岩木山神社そばにもありますし、白濁したお湯がお好きなら少し山を登った嶽温泉もあります。 温泉に前泊してからお山参詣を楽しむという旅程も考えられますね。

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